茨城県のれんこんは作付面積、出荷量ともに全国トップで、全国(出荷量)の約53%は茨城産が占めており、東京の市場に限ると90%以上のシェアーを誇り、そのほとんどが霞ヶ浦周辺で生産されています。(平成26年実績)

霞ヶ浦沿岸は低湿地帯が多く、あしなどの野草が堆積して土壌が肥え(泥炭性埴土)、冬でも降雪の少ない温暖な気候が、れんこん栽培にあっています。

霞ヶ浦流域(土浦市、かすみがうら市、行方市、小美玉市、稲敷市、河内町、阿見町、石岡市、美浦村)が主な産地です。

れんこんは、多年生の水生植物である蓮(はす)の地下茎の肥大した部分を主に食用とします。呼び方もれんこん(蓮の根ということから)、蓮と両方の呼び方をするようです。実や若葉も食用とします。

れんこんを食用としているのは日本、中国など少数の国々だけです。日本では穴があいているので「先を見通す」ことに通じ縁起が良いとされ、正月のお節料理やお祝い事などの慶事に欠かせない食べ物となっています。また、古代インドでは、神がハスから誕生したという神話があり、聖なる花、吉祥の象徴とされ、種が多いので、多産・生命・神秘のシンボルにもなっています。

はすの由来は?

はすの花が咲いた後、実の入った花托(かたく)が肥大します。この表面がハチの巣に似ているため、古くは「蜂巣(はちす)」、それが略されて「はす」になりました。

花はいつ咲くの?

花は7月~8月の盛夏に集中して開花します。20枚あまりの花弁が朝早くから開き始め、午後には閉じて、4日目には開いたまま散ってしまいます。

れんこんの「穴」は何の為?

はすは水生植物なので、空気を運ぶ通気組織、気孔が発達しています。葉、茎、花などすべての部分に縦に貫通した数本の穴があり(穴の数は真ん中に1~3、まわりに7~9)、地下茎であるレンコンに連結しています。この穴によって葉から取り入れた空気を根に送り込んでいます。

れんこんの旬は?

レンコンは周年出回っていますが、旬は晩秋から冬にかけてです。

6月の下旬ごろから早掘りのれんこんが、「新れんこん」として出回ります。アクが少なく、みずみずしい味が特長です。翌年5月まで順次出回りますが、11~3月がピークとなります。

れんこんの種類は?

明治以降に導入された中国種と日本にもとからあった在来種とに大別されます。

中国種群

明治時代初期に中国から導入した品種を改良したもので、現在流通しているレンコンの多くがこの分類に入ります。比較的多く栽培されているのは、ふっくらと丸い「金澄(かなすみ)」系や「だるま」系の品種です。
また徳島県や愛知県で多く栽培されている節間が細長い「備中種」や、石川県や山口県が主産地の「支那白花」などもあります。石川県産のものは「加賀れんこん」、山口県産のものは「岩国れんこん」とも呼ばれます。

在来種群

江戸時代以前に日本に伝わり各地で根付いたものが在来種群として分類されています。中国種に比べると細長く少し茶色がかった色をしていて、肉質は粘質でやわらかく味がよいとされています。
しかし根が深くて生産量が少ないため、あまり流通はしていません。品種としては「天王(てんのう)」、「上総(かずさ)」などがあります。

れんこんの栄養と効能

れんこんの主成分は糖質で、でんぷんや粘り気の成分が特有の歯ざわりを持たせています。

風邪の予防や美肌に

ビタミンCが豊富です。ビタミンCは熱に弱いのですが、れんこんはでんぷん質が多いために、加熱しても相当量のビタミンCが残ります。

ビタミンCは疲労回復に効果があり、細胞どうしをつなげるコラーゲンを生成して、血管や粘膜を丈夫にし、肌にはりを与えたり、ウィルスの核酸を破壊して風邪をひきにくくする作用があるとされています。

ミネラルが豊富

カリウムや鉄、銅、亜鉛を多く含みます。

便秘解消に

不溶性の食物繊維が多く、腸の働きを活発にして便秘解消によいです。また、血圧を正常に保つ効果も知られています。

消炎・止血に

れんこんの切り口が茶色く変色するのはポリフェノールの一種タンニンが含まれているためです。
このタンニンは粘膜を守るとともに、消炎止血作用があり、胃潰瘍や十二指腸潰になった時、下血や喀血を止める効果があるとされています。

日本食品標準成分表より(2015年、可食部100g当たり)

ビタミンC れんこん:48mg レモン(果汁):50mg りんご:4mg みかん:35mg
鉄分 れんこん:0.5mg トマト:0.2mg たまねぎ:0.2mg きゅうり:0.3mg
カリウム れんこん:440mg にんじん:270mg キャベツ:200mg ピーマン:190mg
食物繊維 れんこん:2.0g レタス:1.1g だいこん:1.3g キャベツ:1.8g